今にも泣き出しそうな空を見つめて
ぽっとつぶやいた。
「何でこんなに悲しそうにしているの?」
今にも零れてしまいそうなのに
ずっとその悲しみを耐えているようなものに見えて
なんか私みたいだった。
そんなに悲しい瞳(め)をしないで
そんなに辛そうな顔をしないで
気がついたら、空を見上げたままどこからか
水粒が落ちた
・・・私が替わりに泣いてあげるから
・・・どうか明日は元気になっていますように
目が合ってしまうと
胸がはじけてしまいそうだから
いつも斜め後ろから眺めてしまう
すべてを包み込んでしまうような広い背中や
誰でもコロッとしてしまいそうなあの笑顔や
耳の奥にこだまして離れないその声や
あなたの魅力に多分に惹かれている
本当は普通に話しかけたいのだけれども
感情や気恥ずかしさや周りのことを考えると
足を踏み込むことはできない
少しでも共通なもので繋がっているだけでも
いいのにまだまだあなたは遠い
そうはじめからあなたは遠くにいたね
だからずっと背中を見つめ続けて
今もそうしている
すべての理なんてここではなければいいのに
だけど発生している事実は何も変わらない
素直に甘えられる場所にいたいのに
素直に想いを伝えられるようになりたいのに
いつからか・・・私は臆病で
いつからか・・・私は・・・
触れてはいけない人なのに
心と理性が交錯する・・・
どうか・・・このまま何事もなく通り過ぎて
何も望まないから
ずっと・・・背中だけでも眺めさせて
穏やかに過ぎていくこの道のふと流れが変わった
何処かでこの見えない水面に触れたのかもしれない
水の輪の響きがここまで伝わってくる
なにごともないようにここを通り過ぎたら
きっとその響きには出逢えなかったね
ふと足を止めてしまったのも
その響きがとても心地よかったから
ついその場でその響きを聴いていた
突然の交差点ですれ違って
そんな響きをもとめて少し寄り道しようと思った
新しい道を歩くようなそんなドキドキ感を抱えて
歩いてみるとそこは舗装も何もされていない道で
誰もここは通っていないような気がした
きっと自分だけのものだからいつも歩く道は未開拓地
たまに茨の棘で傷も出来ることもあるけれど
そのオアシスで何でも癒されているから
もう少し歩いていてもいいのかなって思ってしまう
その響きにはどうして触れたらいいのか
その響きにはどうやって関わったらいいのか
まだ解らないけど・・・
まだ後ろ側を観ているだけでも
少しだけ元気貰えている
交差する響きの奥に混ざる音は
どんな音なのかもまだ解らないけど
自分は自分なりのものを奏でて
その響きが遠くまで伝わるように
その響きが貴方に感じられるように
その音に・・・願いを込めて